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【P-087】「誰の仕事?」をあやふやにしてみる:「顕名の人間個人」でない貢献者も参画する学術研究の場をつくる

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現在の学術研究では「所属のある顕名の個人」による成果発表が信頼性を保証するが,個人の能力への過度な帰属,しがらみから受ける制約,重要な知見の周縁化といった弊害もある。そこで「非顕名の人間による学術研究参画」について,研究に参画する人々などのアイデンティティや貢献度の見方,そして実際に非顕名の人間による研究参画から生じうる可能性と問題点を論じる科学コミュニケーションの場のデザインを提案する。

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  • 「誰の仕事?」をあやふやにしてみる 「顕名の人間個人」でない貢献者も参画する学術研究の場をつくる SUZUKI Satoshi V./⼤阪経済法科⼤学 経営学部 ssv@svslab.jp https://lit.link/svslab 次の疑問について,あなたはどう考えますか? ❶⼈間はみな⾃助努⼒さえすれば「合理的」な考え⽅を⾝につけられると思いますか? ❷研究者はみな,研究活動で得た知識,スキル,業績,⼈脈などを「元⼿」にして,研究のスケールを⼤きくすべきであると 思いますか? ❸「リスクはあるがきわめて低く,コストも抑えられた病気の治療法」というエビデンスの伴った研究成果がある場合,⼈間 はみなこの治療法を選ぶべきだと思いますか? これらの疑問に「当然そうだ」と思いましたか? それとも「必ずしもそうではないのでは?」と思いましたか? このような知恵を出し合える方を探しています ✹ 既存の研究の価値観も尊重しつつ,さまざまな⽴場により変わる⼈々の研究の受け⽌め⽅に興味のある⽅ ✹ 既存の研究に敬意を⽰しつつ,新たな切り⼝で研究の解釈や活⽤のしかたを模索したい⽅ なぜ研究成果の発表は顕名になったのか グローバル化した学術知の権威 ✹ 19世紀のイギリスの動き (Csiszar, 2017) ✎ それまで著者名は匿名やイニシャルが主流 ✎ 研究不正が横⾏ � 1830年 Babbageが公表論⽂数による 研究者の評価の定量化を提案 ✎ 1867年 王⽴協会が科学論⽂目録を出版 ✹ 出資を受け「役に⽴つ」研究を「請け負う」 研究者の登場 (村上, 2021) ✹ 1960年代 研究者や論⽂誌の評価の定量化・ 分析の⼿法の登場 (藤垣, 2004) ✹ 顕名化に伴う科学的発⾒を先に論⽂にできた側に栄誉を与 えるルールの確⽴ (National Academy of Sciences, 2009) ✹ デジタル化で情報の⼊⼿・発信が⼿軽になり学術 知のグローバル化と権威づけが強化 (吉⾒, 2020) ✹ グローバルな知を扱える⼈材への富や権威の 集中 (Goodhart, 2020) 人それぞれの「うまくやる」知恵 ✹ 知ること⾃体を愉しむ⼈と深い解釈を愉 権威化した学術知への違和感 ✹ ⾃閉症研究のアプローチの偏向に対する ⾃閉症当事者からの抗議 (Autistic Self Advocacy Network, 2022) ✹ 「くじ」を何回も引ける研究者と,1回しか 引けない患者の非対称性 (宮野・磯野, 2019) ✹ 科学コミュニケーションにおける学術知の価値を ⽂化相対的に捉える枠組みの提案 (廣野, 2023) ✹ 所属組織や同分野の他の研究者のしがらみと,しがらみ を避けるための匿名での発表の場づくり(京⼤100⼈論⽂など) しむ⼈との価値観の分断 (井川, 2025) ✹ 知識は各⾃がつくり,教室の外へ「持ち運 ぶ」という認知観 (三宅他, 2016) ✹ 視覚障害者が視覚に頼らず外界を把握す る知恵 (伊藤, 2015) ✹ ⾃⾝の世界の捉え⽅を⾃分の⾔葉や理論で 捉える当事者研究 (綾屋, 2023) ✹ 他者と趣味を愉しむためにいま⼿元にあるもので 「何とか」学ぶ⼈々 (岡部, 2021) ✹ モノやサービスの利⽤者側からの,供給側の「想定外」 のイノベーションの重要性 (von Hippel, 2016) これまでの自⾝の研究など 「非顕名」の人々が研究に参画する場合の課題 ✹ CGキャラクターへの対⼈的応答 (鈴⽊・⼭⽥, 2004; 鈴⽊他, 2016) ✎ 表⾯的な外観や動作に由来する「⼈らしさ」に反応 ✎ キャラクターの動作原理を意識するのは,動作に「不具 合」を感じた時のみ (Sundar & Nass, 2000) ✹ ピアレビュー活動を含むアカデミックライティング学習⽀援 (鈴⽊・鈴⽊, 2011) ✎ 他者の助⾔でレポートの質が上がる現象は⾒られず ✎ むしろ他者への助⾔内容がレポートの質に影響 ✎ 「引⽤される研究」より「他者の研究をうまく利⽤した研 究」の⽅が質が⾼い? ✹ 研究の多⾯的な価値観をナラティブとして描く試み ✎ 当事者創作 (横道, 2024) による個⼈内の価値観の描写 ✎ 各⼈の価値観に対する「相性」を対話で表現する試み � 後者のナラティブ⽣成に⽣成AIを援用 ✹ 「匿名」と「顕名」の間のグラデーション (折⽥, 2014) ✎ 「匿名」と「仮名」の名乗りの差 ✎ ⼈により把握している⾃⾝の個⼈情報に差あり ✎ ⽂脈の異なる個⼈情報の突き合わせの回避が課題 � 分⼈型社会システム (武⽥, 2021) など,「非顕名」が 機能するインフラ開発が必要 ✹ 「非顕名」が機能する前提での研究エコシステムの可能性と 課題を議論する場づくり ✎ 左記の研究の価値観のナラティブに対して各⼈の解釈と 「相性」を共有する対話の場 ✎ SF思考 (宮本, 2023) による予測から逆算した課題発⾒ ✎ 研究業績の蓄積を「元⼿」にする研究推進 (Latour & Woolgar, 1986) 以外の研究の進め⽅の模索 ✎ 学術論⽂以外における「作者」概念 (シラネ他, 2021) を 学術研究に導⼊する場合の検討

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